秋晴れの大坂。各地区の予選を勝ち抜いた50校100名の代表選手が決勝大会の地へ集結。全国の大学日本一を決める、この学生最大規模のタイトル戦も今年で13年目。
第一回大会から関わっている私にとって、毎年この時期を迎えるたびに感慨も深まる。当時の学生たちはすでに30代のバリバリの社会人。一方、今年の参加者たちは、第一回大会の頃はようやく幼稚園に入った頃。
この13年で麻雀の遊び方も大きく様変わりした。大学生が寮やアパートでジャラジャラする時代は終わり、インターネットやゲームセンターで通信対戦麻雀に興じる。麻雀は先輩から温かく(時に手厳しく) 教わるものではなくなり、テレビゲームで覚えて上手になってから、実際に牌に触り、実際に人と向き合って対戦する時代へ。
そんないまどきの若者らが、同大学からペアにふさわしい相手を探し、地区予選に臨み、大坂決勝まで遠征する。これはいまどき珍しい現象なのでは、と思う。そこまでして麻雀に賭けるものはなんなのだろう。腕試しの場を求めてだろうか、学生時代の思い出づくりだろうか。数あるゲームの中で、なぜ麻雀にそこまでの情熱を燃やすのだろうか……
毎年、ゲストとしてお越しくださる小島武夫プロは、毎年、学生雀士らを熱く賞賛する。ひたむきにまっすぐ勝負する姿勢が素晴らしい、と。
一回戦、緑一色を振り込んだ大阪教育大学の山村茂伸さんは、わずか数局後に四暗刻単騎を決めた。単なる偶然だけではない、短期決戦ならではのものすごい気迫を感じる場面だった。学生の熱さがみなぎる場内は今年もむんむんしていた。この熱いイベントが末永く続くことを願う。
山形和弥(金沢大学麻雀会百萬石初代主将 第13代日本学生麻雀連盟会長)学生麻雀の最高峰であり、幾多のプロを世に輩出してきた本大会。初参加の僕は運営者として選手の皆さんをサポートするために尽力しましたが、見ているだけで麻雀を打てないのがこれほどつらいとは思いませんでした。
わが金沢大学は初出場で緊張しているかと思えば、緊張していたのは僕だけで、みんな同席した方と仲良くしていた様子でした。今年は役満がどんどん出る景気のいい大会で、達成が紹介されるたびに「おおー! 」という声と拍手が響いて、とても温かみを感じる雰囲気でした。来年は僕も選手として参加してこの空気を浴びたいと思います。
稲穂涼平(優勝・京都文教大学Aチーム MVP受賞)今回、この第13回青雀旗杯に出場することが出来て、私は日常では経験することの出来ない貴重な体験をすることが出来た。
普段の麻雀はサークルの仲間内でやることが多く、たまにフリー雀荘に顔を出す程度だったので、全国から自分と同じ麻雀好きの学生が一つの会場に集うんだと思うと、どんな人と一体どんな対局が出来るのだろうと不安と楽しみで胸がいっぱいだったのを覚えている。
今でもはっきりと心の中に焼き付いている半荘は、そんな状態で始まった一回戦と、もしかしてペア二人ともにトップを取れば優勝できるんじゃないかと意気込んで迎えた四回戦目だ。
一回戦目は、他家の満貫ツモ、跳満ツモの嵐に堪える展開。
やっと手が入り、満貫ツモを果たしたのが東四局で、その後も軽く南一局の親番を流され、跳満ツモで引き離されて迎えたオーラス。トップになるには跳満ツモ、二着になるには満貫ツモの条件下でもらった配牌で私は頭の中は「諦め」の文字でいっぱいになった。
今思えば、そこで本当に諦めていたら優勝はあり得なかったと思う。
必死で「最後まで諦めるな」と自分で自分に言い聞かせて、わずかに見える六七八の三色に焦点を絞った。残りツモ二回の所で三色完成のテンパイを果たし、一発でドラの五索をツモあがり、逆転することが出来た。あの時諦めなくてよかった、そしてその気持ちに牌が応えてくれたことが本当に嬉しかった。
そして、優勝がかかった四回戦目、運良く東三局の親番で満貫をツモあがることができた所まではよかったものの、その後は苦しい展開でノーテン罰符や他家のツモにより点棒は減っていくばかり。
そんな時、となりの卓で対局していたペアの森君が四暗刻をツモ。それを見ていた私は再び闘志が沸き上がって来るのを感じた。
「隣で相方も頑張っているんだ、オレも頑張ろう」
ノーテン罰符で着順が変わるトップ目で迎えたオーラス、終盤に二着目からリーチがかかるなか、平和ドラ一をあがり切った時の気持ちは言葉では表せない程の興奮と嬉しさだった。こんなに遠い平和ドラ一を初めて経験した。
この大会に出場し、二人で優勝出来たことは、学生生活最高の思い出として一生忘れることの出来ないものになった。
森光平(優勝・京都文教大学Aチーム)大会は初めてだったので結構緊張した。普段打ってるメンツよりは麻雀狂いな奴らと打てることを期待していた。でも大会の参加者は予想とは違い、ツッパリ麻雀が多かったので意外だった。
やっぱり今大会でネックだったのがチーム戦ということだった。今思えばそのルールが功をそうしたのかもしれない。二回戦までいまいち調子が出ないまま三回戦へ。麻雀をやっているものなら誰でも感じたことのある「ツイてない」感じだった。でも逆に俺には闘志が湧いてきた。糸のような細いアガりをものにし、ようやくトップに。
三回戦が終了した時点で俺が2位3位1位、パートナーの稲穂さんは1位1位1位。その時点での総合順位は3位。総合1位とは確か600ポイント差ぐらいだったと思う。つまりこっちがツートップで相手が落ちれば逆転優勝もある!
絶対に負けられない局面、ここで俺が四暗刻ツモ! だがここで必要なのはより高い打点。最後まで攻め続けて大トップ。そしてそれに続き、同大学Bチームの二人もツートップ!
あとはみんなで作ったこの流れを相方の稲穂さんがつかんでくれるだけ……そして見事優勝。稲穂さんは個人MVPも受賞。みんなで培った勝利な気がした。来年は俺ももちろん出場したいが、どちらかと言えば後輩メインで頑張ってもらいたい。
順位 | 地区 | 大学名 | 氏名 | ペア合計 | 個人順位 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | 近畿 | 京都文教大学(A) | 森光平 稲穂涼平 | 152500点 | 20位 1位 |
2位 | 近畿 | 大阪医科大学 | 新宅将之 町田康博 | 152500点 | 2位 25位 |
3位 | 四国 | 愛媛大学 | 西岡直哉 安屋亘一郎 | 130500点 | 7位 22位 |
4位 | 四国 | 香川大学 | 三上和也 河野慎二 | 85900点 | 9位 48位 |
5位 | 近畿 | 同志社大学(A) | 吉岡一人 羽村亮二 | 76500点 | 35位 19位 |
6位 | 近畿 | 立命館大学(C) | 奥野達也 小西恒嗣 | 74000点 | 47位 14位 |
7位 | 東北 | 東北大学 | 岡野多加史 佐藤隆哉 | 73500点 | 54位 5位 |
8位 | 近畿 | 京都大学(A) | 後藤真幸 米田友貴 | 70800点 | 8位 52位 |
9位 | 近畿 | 大阪教育大学(B) | 一井駿介 岩本航 | 69100点 | 3位 67位 |
10位 | 中国 | 岡山理科大学(A) | 小林哲也 新井龍太 | 66800点 | 4位 62位 |
順位 | 地区 | 大学名 | 氏名 | 得点 |
---|---|---|---|---|
1位 | 近畿 | 京都文教大学(A) | 稲穂涼平 | 99700点 |
2位 | 近畿 | 大阪医科大学 | 新宅将之 | 92800点 |
3位 | 近畿 | 大阪教育大学(B) | 一井駿介 | 91000点 |
地区 | 大学名 | 氏名 | 役名 |
---|---|---|---|
四国 | 阿南高専 | 大西優 | 緑一色 |
中部 | 岐阜大学 | 野田啓元 | 国士無双 |
近畿 | 大阪教育大学(A) | 山村茂伸 | 四暗刻単騎 |
北海道 | 北海道工業大学 | 坂下徹 | 大三元 |
近畿 | 京都文教大学(A) | 森光平 | 四暗刻 |
中国 | 島根大学(B) | 市川喜章 | 四暗刻 |