2017年03月19日。2016年度の各種競技会を勝ち抜いた、選りすぐりの8名が川崎本部へ集結。
今回の注目選手はU18選抜の松原一生さん15歳。父は天下一武道会2013準優勝の松原利仁さん。蒲田校の一般大会56名に唯ひとり子供教室より参加し、みごと優勝。父が成し遂げられなかった夢を果たせるか。
もう一人の注目選手は西日本選抜のエレン美樹ショールさん。母は天下一武道会2012三位の土井登美子さん。こちらも親子二世代に渡って全国制覇をめざしての参加です。
西日本からは骨髄バンクチャリティ事業の発起人、山口明大さんも参加。ニューロン西日本統括の現役競技プロとして活躍が期待されます。
予選は4回戦で上位4名を決める仕組み。決勝進出ボーダーを見据えた駆け引きが続きます。結果はなんと4名中3名が「第64期満貫全席の決勝メンバー」という顔ぶれ。いま勢いのある選手が結果を出したという印象です。
決勝戦は東南西場の1荘戦。途中までワンサイドゲームでしたが、二位の怒涛の追い上げにより、最後の最後に「上位2名が6万点台の超接戦」というすさまじい展開へ。最終的には僅か2300点差で、川崎校選抜の高橋涼さんがタイトル獲得。1月の第65期満貫全席に続いての二連勝となりました。
満貫全席優勝 高橋涼さん
東日本選抜 木澤謙さん
満貫全席優勝 吉原典明さん
満貫全席優勝 佐藤貴範さん
決勝進出者4名。優勝は川崎校所属の高橋涼さん!
8名を4名に絞る予選。ポイントがプラス域ならば決勝に駒を進めれる可能性が高い。2回戦終了時、吉原(以下敬称略)と山口プロが2連勝。二人の勝ち上がりが濃厚。実質、残りの2席を争う戦いとなりそうだ。この後も2連勝の2名が勝ち続ければボーダーは下がるので激戦が予想される。
予選を終えて、決勝に駒を進めたのは…
1位通過 4連勝の吉原
2位通過 2・2・1・3着と手堅く進めてきた高橋
3位通過 初戦に大きいラスを引いたた後に3連続2着で勝ち上がりの佐藤
4位通過 3・3・3着の後、最終戦オーラスで逆転トップをもぎ取った木澤
3位と4位はマイナスポイントでの通過。開幕2連勝だった山口が2ラスを引き敗退という荒れた展開に。決勝は普段から慣れ親しんでいる半荘戦ではなく、西場北場もある一荘戦。西場に入る際に席を移動するという国際公式ルールに倣った特殊なシステム。対局時間も100分と長丁場の戦いとなる。
高橋 47000点・佐藤 12900点・吉原 10400点・木澤 28700点 供託 1000点
高橋が親で連荘し1歩抜け出た形。半荘戦ならば十分なリードとなるが、一荘戦だと心許ない点差にも思える。
一荘戦とはいえ、これ以上点差が広がると苦しい佐藤。迎えた親番で以下の牌姿。
親・ドラ(6) 二四六七(4)(5)(6)(7)(8)(9)(9)[3][4][5]
好形テンパイ率を重視し、打二。次の自摸牌は無情にも三。よくあることではあるが、決勝の舞台では致命的に痛い。そして追い打ちを掛けるかのように吉原のリーチ。さらにひっそりと高目三色のテンパイを入れていたトップ目高橋が追っかけツモ切りリーチ。高目の[8]はリーチの現物。それをあえて追っかける。やはり高橋も一荘戦でトップを取るためにはもっと稼がなければいけないと感じているようだ。結果は高橋が安めの[5]で3900の出和了り。
上記佐藤に続き、吉原も苦しい。しっかりとした手順を踏み、先制での7700確定・ドラまたぎの[1]-[4]待ちリーチ。1人旅かと思いきや、トップ目の高橋が役牌をポンして応戦。またしても高橋の和了り。役・役・ホンイツの8000点。
南4局も高橋が木澤より3900の出和了り。3者の心を折りかねない和了りの連続。西場は小競り合いが続き、いよいよ北入。
親 佐藤 14100点・高橋 60800点・木澤 16700点・吉原 8400点
圧倒的に高橋の有利な状況。残り時間も25分。高橋のウイニングランが始まる…はずだった…
三者は後がない。どんなリスクを冒してでもリターンを求めなければいけない。それを表すかのような状況に。親の佐藤が親満テンパイ 二二六六 西西西八八八東東東ポン
そこに吉原がリーチ。木澤も勝負し、追っかけリーチ。高橋への挑戦権を賭けた戦いである。決着はすぐに。佐藤が木澤に放銃。メンピン一発ドラウラウラの12000点。佐藤は実質リタイア。木澤が高橋追撃の一番手に。しかし点差はまだ3万点以上。
2巡目に親の高橋が七対子テンパイ→3巡目に2400の出和了り。和了り自体は嬉しい。贅沢を言うならば巡目が深い時に和了り、時間を使いたいところではあった。
残り時間は20分。高橋にもう1回和了りがでれば、実質コールドゲームか。しかし高橋の手が重い。無理をする必要のない高橋は第一打にドラ→その後は中張牌の連打でオリの態勢。打点が必要な三者だが、次が親番の木澤。役牌が暗刻の手で、3枚目のペン三を渋々チー。300・500を和了り、親番に一縷の望みを…
親木澤 ドラ[9] 10巡目 [2][3][7][8]東東東五五五六七八
残り時間を考慮すると門前で仕上げて満貫以上にしたい。が、他者が和了れば親は流れてしまい、優勝の目はほぼなくなる。しかも上家は断トツトップの高橋。鳴く機会を逃すとノーテンで親が流れてしまうのではないか…決勝ならではの葛藤があるのではないだろうか。鳴ける牌はでないままツモ[6]で聴牌。当然の即リーチ。対面の佐藤が同巡に追っかけリーチを試みるが、宣言牌が木澤の和了り牌。裏も乗り12000点の和了り。ようやく高橋の背中が見えた。
優勝までマジック1の高橋。木澤の親を流せばほぼ優勝。積極的に仕掛ける。瞬く間に3フーロ。テンパイまでは早かったが和了りに結びつかない。これはかなり不安になるであろう。手牌は4枚しかない。親の木澤からリーチを受けたら…そんな不安が的中。木澤が15巡目に中を暗槓。そしてリーチ。状況としては最悪に近い。高橋が持ってきた危険牌を高速でツモ切る。無事に通過! さぁ二人の戦いだ! …と思いきや、実は佐藤が11巡目から九蓮宝燈のイーシャンテン。残りの1枚が引けない。ツモる手に力が入る。ツモってきた不要牌を切ると木澤からロンの声。「24000」裏ドラが5枚。高橋には目を覆いたくなる状況。
なんと北入時には44000点はあった点差がひっくり返った。これだから麻雀は面白い。まぁこれが当事者だったら気が気ではないだろう笑 私と違い、高橋は冷静だった。1000点を木澤から和了り再逆転!
迎えたオーラス。高橋 63700点。木澤 63400点。
2巡目の高橋に注目 二三四五六七八(7)(9)[7][8][9][9] 迷うことなく一をチー。これを和了りトップという理由から即鳴けるのは素晴らしい。次巡には九を鳴けてテンパイ。しかも待ちは[6][9]。優勝へのカウントダウンが始まる。
木澤の手牌は…! 7巡目 三六九九(4)(4)(5)(6)(6)(6)(7)白白 ようやく8巡目に出た(4)をポンするが、さすがに間に合わなかった。優勝は高橋。
まさかこのような展開になるとは思っていなかった。途中まで「これじゃ観戦記書けないがな! 」と思っていた自分が恥ずかしい。素晴らしい闘牌を見せてくれた皆様には感謝の一言に尽きる。そして何よりも高橋さん。おめでとうございます!!!!!
千貫陽祐プロ実力者揃いの全国大会で優勝できたこと素直に嬉しいです。予選、決勝を通して自分らしい麻雀が打てました。特に決勝では東場、南場は打点を追いリードを広げ、西場、北場は失点のリスクを負わないよう捌き手かベタ降り。自分の勝ちパターンでした。これから1年間チャンピオンとして麻雀と向き合っていきますので恥ずかしい麻雀を打つ訳にはいきません。まだまだ成長するために日々精進していきます。
優勝コメント 高橋涼そもそも1着を目指す競技だ。私は、そこへの執着が足らなかった。予選、立ち上がりから劣勢。とても苦しい。ギリギリいろいろな条件重なり、なんとか決勝卓に滑り込んだ。そこで満足しまっていたようである。決勝対戦前の会話で、私は「誰が勝ってもここまで来れた」。高橋さんは「僕が勝ちます」と答えた。1着を目指さなければ、勝利を掴めるはずが無い。戦いに臨むための姿勢も準備もとても重要である。負けて多く学びました。高橋さん、優勝おめでとうございます。次は私が勝ちます(笑)
準優勝コメント 木澤謙